葵と一泊入院(2)
 ゴールのカラーピティヤ病院での続きを。 *前の記事はコチラ

 受付で血圧と脈拍を測った後、看護師に案内されて診察室へ。30歳前後の若いドクター。救急病棟の担当医という緊張感はまったくなく、やる気もなし。ヒッカドゥワの病院からの申し送りカードを見ながら、いくつか質問をしただけで、聴診器さえも当てなかった。そのまま入院の手続きをするように言われ、数十メートル先の別の受付へ移動した。ここで20分ほど待たされ、入院する病棟を言われた。

 この病院は、エレベーターがないので建物が低く広がっていて、なかでも小児科の病棟は一番端なのでかなり遠い。階段を上って、長い廊下を歩いてと、熱でぐったりした葵を抱っこしながらの移動は本当につらかった。そして、小児科に着いてからも長い。体温計を渡され熱を測るように言われたが、待合室はなく廊下の長イスに座って待つ。

 ここは南部州では一番の規模の、政府系総合病院なので、研修医がたくさんウロウロしている。この日は、ヨーロッパからの若い研修医も数名いて、明らかに患者の数より研修医の数のほうが多かった。彼らが入れ替わり立ち替り、症状について質問してくる。この日だけで、担当医を含めて20回近くは答えたと思う。彼らの勉強のためとはいえ、ファンすら回っていない暑い病室で、高熱の葵を抱いた状態で答えるのはかなりつらい。

 「カルテを見てから、要所だけ質問してちょうだい」と言いたいくらいだったが、外国人なんて珍しい政府系病院ではかっこうの興味の対象となり、プライベートな質問や日本についての質問まで続く始末で、それだけでも疲れた。30分以上待たされた後、ようやくベッドが空いたようで、コの字型に子供用ベッドが15個置かれ、その間に乳児用に小さなベビーベッドが3つ置かれた大きな部屋の、端のベッドに案内された。

 持参したベッドシーツをかけ、とりあえず葵を寝かせる。ベッドとベッドの間の狭いスペースには、プラスチックのイスと小さな棚がひとつあるだけ。付き添い人はそこで仮眠する。天井にはいくつかファンがついているが、半分は回っていない。私たちの上のファンも故障中で動かず。昼間も夜もかなり暑かった。一泊して翌日のお昼過ぎには退院したのに、ずっとイスに座っていたのでお尻から腿にかけて汗疹がびっしりできてしまったほど。2月でこれだから、4月や5月は蒸し暑くて、とてもいられないと思う。

 付き添う人は一人なので、それ以外の人は、一日三回の面会時間(朝6~7時/昼12~13時/夕方5~6時)にしかいられない。入院といっても、一日1~2回の診察と薬の投与以外は基本「放置」なので、飲み物や食事などは家族が届けないとならない。スリヤンガや親戚が食事やお茶、お菓子などを運んでくれた。

 スリランカの政府系の病院に入院する場合に、必要なものは下記のとおり。日本の病院でも必要な、着替えや洗面道具などをのぞいて、スリランカらしいと思われるものを並べてみた。

 ベッドシーツ、枕(自宅から持ち込むのが一般的)、お茶セット(ポット/お湯はもらえる、茶葉、砂糖、ミルクパウダーなど)、電池式の蚊取り器。枕は枕カバーじゃなくて、本体のほう。病院に行くと、枕を小脇に抱えた入院患者の家族がウロウロしているので目に付く。今回慌てて来たので、蚊取り器を忘れてしまった。同じフロアにデング熱の患者が寝ていると聞いて、かなり焦った。子供用ベッドには、穴だらけだが、一応蚊帳が付いている。

 熱性けいれんについては、スリランカでは年中気温が高いせいか、よくあることらしく、幼稚園や学校の先生は対処に慣れていて、氷水を脇や足にかけたり、水をスポンジやハンカチに浸して体を濡らし冷やすのが一般的。実際、美咲が1歳で起こしたときも、今回の葵を病院に連れて行ったときもそう処置された。

 が、今回入院先で研修医と話をしていたときにその話になり、最近は体、特に全身を濡らすと、急激に体が冷え血管が収縮し、血圧が上がり、体に負担がかかるので、推奨しないドクターも増えていると言ってた。私も見ていて「やめてください!」と言いたかったので、次回がもしあったらはっきりとドクターに拒否しよう。ちなみに我が家では、熱用にアイスノン枕と保冷剤を冷凍庫に常備している。

 また、スリランカでは、けいれんを起こしているときに、舌をかむからと口の中にスプーンを入れようとする人が多いが、これは逆に呼吸がしにくくなり危険。やらないで欲しいと言っていたが、なかなか浸透しないらしい。スリヤンガもすぐにスプーンを持ってきたし、アンマや近所のアンティも確かにスプーンを入れようとした。これははっきり拒否したほうがいいと思う。

 ドクターに聞かれたことは下記のとおり。けいれんの最中は気が動転してしまうと思うが、通常は5分以内、長くても15分以内に治まるものなので、落ち着いて観察して欲しい。

 1)けいれんの時間(スリランカの病院では、15分以内か15分を超えたかでその後の処置、検査が違ってくるので確認を)
 2)けいれんのようす(どこがどういう風にけいれんしたか、左右対称かなど)
 3)風邪などの症状はあったか? 熱は?

 熱性けいれんの対処法は、実は何もない。自然におさまるのを待つしかない。ただ、吐いて喉に詰まってしまうかもしれないので顔を横向きに寝かし、呼吸がしやすいようにあごをひくといい。声をかけたり、揺さぶったりすると、繰り返しけいれんが起きてしまう可能性があるので、そっとけいれんが治まるのを待つ。

 予防法としては、38℃以上の熱が出たときに上がりやすいので、熱が出たらようすを見て、急激に上がりそうならパナドールシロップなどで熱を下げてあげるといい。ただ、熱が上がるのは、体内でウイルスを退治するため、体温を高くして免疫力を上げているので、すぐに解熱剤を飲ませるのではなく、熱をこまめに測って、タイミングを決めるといいと思う。葵が入院していた病院では、華氏100度(約38℃)が解熱剤を与える目安になっていた。私は38.5℃を超えたらあげている。

 病院に一泊入院して、24時間けいれんが再発しなければ大丈夫と、翌日お昼過ぎには退院できた。その日中は熱があったが、翌々日にはすっかり熱が下がり、治った。できればもう二度と行きたくないが、今回はいい社会勉強ができたと思うことにしよう。

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コメント

大事に至らなくて、何よりでした。

娘も熱性けいれんを起こしたことがあり、
その時は坐剤を入れて様子を見て、
落ち着いたので受診はしませんでしたが、
それは日本にいるから何が起きても
なんとかなる、という安心感があってのことでした。

医療面に関しては、
保護者が日本以上に、知識をしっかり持っておくことが
必要なのですね・・・・。
---------- みーふー. URL│02/16. 12:27 [ 編集 ] -----

みーふーさん

返事が遅くなりましてすみません。
コメントありがとうございます。

こちらにいると、やはり日本の救急医療はすごいと思います。
スリランカのドクターは、聞かないとほとんど説明してくれないので、
こちらもある程度の知識を持って話をしないと、すべて受身となってしまいます。
薬もけっこういい加減だったりするので、自分で成分を確認しないと心配ですし、
ドクターに任せきりという訳にいかないです。

あまり表に出てこないですが、医療事故多いと思いますよ。
ナース達の意識も低いですし。予防接種受け取るときでも目を光らせています(笑)。
---------- Reiko. URL│02/24. 04:21 [ 編集 ] -----

こんにちは。
大変だったんですね。
うちの子は熱性痙攣の経験が無いので、落ち着いた対応に感心しちゃいました。

スリランカで病気・怪我って本当に大変ですよね。
元気に育ってくれる事を願うばかりです。

医療の発展も願いたいのですが、難しそうですよね・・・
---------- マンゴー. URL│03/06. 18:18 [ 編集 ] -----

マンゴーさん

本当に健康でいてくれるのがなによりだと思います。
とにかく緊急のときに慌てないように、普段から行く病院、ドクターを決めておく、
ある程度の病気の知識を持っておくというのは大事です。

これから裕福層向けに最新の医療設備の整った病院ができていくのではないでしょうか(希望でもありますが)。
ただお値段は日本以上になると思いますが。

今ひとつゴールの私立病院が新しい棟を作っているので、
エアコン完備になるといいなと思っています。
---------- Reiko. URL│03/12. 15:29 [ 編集 ] -----
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