美咲、発熱②
 美咲の呼吸がさっきよりも苦しそうになってきたが、タクシーはまだ来ない。妹は待ちきれず外へ駆け出し、タクシーを探しに行った。私もすぐ乗れるようにと美咲を抱っこし、外に出た。雨のせいか肌寒い。10分くらい待っただろうか。まだ、来ない。その間に美咲の目の焦点が合わなくなり、意識がなくなった。「美咲!」と呼びかけたり、頬をたたいても反応がない。

 急に、抱いた感じがさっきまでのぐったりと違くなった気がする。しかも、美咲の体が燃えるように熱かったのに、体温を感じられなくなっている。「いやだ、まさか冷たくなってきているのか」と私も頭に血がのぼっている状態。スリヤンガはすでに我を失っていて、「美咲が死んだら僕も死ぬ…」と半狂乱。

 ここでようやく妹がタクシーを見つけたらしく走ってきた。しかしこれから行こうとしている救急病院はどんなに急いでも30分はかかる。間に合わない。妹に携帯で電話して救急車を呼んでもらう。

 このようすを見ていたタクシー運転手、遅れた謝罪は一切せず、開口一番に「この状態じゃ、タクシーは無理だったね。じゃキャンセル料710円もらって帰るよ」と言い放った。普段なら何か言っただろうが、この時はそんな状況ではなかったのでお金を渡してそのまま帰ってもらった。

 救急情報センターの人は、美咲の容態を聞き、携帯がつながったままの妹に「氷、保冷剤、なんでもいいですから、首筋、脇をとにかく冷やしてください」とアドバイス。外に出るからと、逆に体を冷やさないように暖かくしていたので、その言葉を聞き、妹があわてて保冷剤を持って来て、美咲の首筋に当てる。

 すると、ぐったりとしていた美咲が冷たさに反応したのか体を動かした。今考えると大げさな話だが、その時は「ああ、まだ生きてた」と涙が出てきたのを覚えている。そこへ、救急車が到着し、スリヤンガ、妹と私が乗り込んだ。美咲はベッドに寝かされ、心電図や脳波をチェックできる装置をつけられ、病院に向かった。

 救急車は初めてだったが、救急隊員の人がとても感じがよく、落ち着いた対応だったので安心する。15分ほどで病院に到着しそのまま診察室へ。30代の若いドクターだったが、とてもてきぱきしていて、それまでの経過を聞きながら診察。美咲は救急車の中で意識が戻っていたので、熱は高いものの心配はないと思うので、1時間ほど別室で様子を見ましょうと言うことになった。

 何か異変があればすぐにわかる、ガラス張りの部屋に美咲は寝かされ、そのまま寝入ってしまった。熱がまだ39度以上あるので、ちょくちょく他のドクターもようすを見に来てくれるが、美咲はぐっすり寝ている。ベッド脇のイスに腰掛け、小声で話をする。思い起こせば、さっきの救急車を待っていたときの、3人それぞれの慌てぶりは、相当に面白い。ここでようやく笑うことができた。

 その後も美咲は眠り続けたが、1時間近くたっても熱が下がらないので、熱さましの座薬を入れタクシーで連れて帰る。自宅に戻ったのが2時過ぎ。美咲の横で、すぐにバタンと眠ってしまう。長いような短いような、極度の緊張感とともに過ごした3時間あまり。ともかく命に別状はなかったので、よしとしよう。

***皆様、ご心配をおかけしました。
***たくさんのお見舞いメールや電話をありがとうございました。

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コメント

随分、大変だった様子、ビックリしました。小さな子供とお年寄りは病状が急変するので気をつけて看ていないと怖いですね。慌てると、とんでもない物を手に持って出ていたり・・・経験アリマス。ホント、後で大笑い・・・と。私はお年寄りの方のお世話ですが・・・。美咲ちゃんが元気になられて良かったです。
---------- あーちゃん. URL│06/15. 09:17 [ 編集 ] -----

いやー、大変でしたね。想像よりずっと重篤な状態だったようでびっくりしました。元気になって、本当によかった。スリランカでの生活が、健康で楽しいものになるよう、お祈りしています。
---------- KaluGanga. URL│06/15. 20:59 [ 編集 ] -----

大変だったのですね。美咲ちゃん元気になってよかったですね。reikoさんもお疲れがでませんように。
---------- きしもと. URL│06/17. 22:09 [ 編集 ] -----

もう、スリランカに帰られたんだろうなぁ~と思って
ふら~っと覗いたら~~
美咲ちゃん、たいへんなことになってたんですね。
でもでも、もう、元気になって、走り回ってますよねぇ~♪

しかし、タクシーのおじさんの態度だけは
感じ悪かったですねぇ><
---------- ぴー子. URL│06/20. 12:06 [ 編集 ] -----

あーちゃんさん

夕方まで元気だったので、まさかいきなり高熱を出すとは思わず…。
今までほとんど熱を出したことがなかったので、安心してたというのもありますが、本当に気をつけてないといけませんね。いい経験になりました。
---------- Reiko. URL│06/22. 02:42 [ 編集 ] -----

KaluGangaさん

1ヶ月の滞在中に、救急車に乗ることになるとは思いませんでした。
私は熱に弱く、38度程度の熱でもふらふらしてしまうのですが、美咲はどうやら強いようで、翌日まだ38度以上あるというのにベッドから抜け出して遊ぼうとしてましたから。ご飯も食べてましたし。その分回復は早くほっとしました。

大事をとって1週間待ってから帰国したので、スリランカでは元気な姿をスリヤンガの両親に見せることができて良かったです。実は心配かけるからと、「ちょっと風邪をひいた…」としか伝えてなかったのです。
---------- Reiko. URL│06/22. 02:50 [ 編集 ] -----

きしもとさん

実は後日談があって、美咲の風邪菌はかなり強かったようで、私たちが帰ってから、私の母と妹が相次いでダウン。熱を出したそうです。
おかげさまで、私たち3人はすっかり体調が良いのですが(笑)。暖かい気候だけでなく、スリランカの湿気ってすごいんだなあと思いました。
---------- Reiko. URL│06/22. 02:54 [ 編集 ] -----

ぴー子さん

子どもは本当に回復が早いですね。
美咲はスリランカに着いた翌日から走り回っています。

タクシーのおじさんの態度については、「高熱の子どもを病院に連れて行くのに乗車拒否されることがあるのか」確認してみたかったこともあって、タクシー会社に連絡したら、運転手の態度について謝罪され、キャンセル料戻ってきました。
---------- Reiko. URL│06/22. 03:51 [ 編集 ] -----
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